2025/09/24 16:23
昭和中期に仕立てられた子供用の行燈袴には、当時の暮らしや美意識が布の一枚一枚に息づいています。縞模様の木綿地は、家庭で日常的に使われた素朴な素材でありながら、年月を経ることで柔らかさと深みを増し、現代では新しい視点から注目される存在となっています。
本来、行燈袴は裾がスカートのように広がり、普段着として親しまれた形でした。小さな子供用に仕立てられたものは今では希少で、現代の生活にそのまま取り入れるよりも、むしろ布地そのものが価値を持つようになっています。特に海外では「古布」としての評価が高まり、バッグや小物、インテリアなどへのリメイク素材として強い需要があります。
均一な工業製品では得られない手触りや色合いは、一点ごとに異なる表情を持ち、ものづくりの自由な発想を刺激してくれます。大量消費ではなく、時間をかけて布を活かす暮らしを大切にする人々にとって、行燈袴の布はアップサイクルやスローライフの象徴とも言えるでしょう。
一見小さな布の断片に見えても、その背景には日本の生活文化と時代の空気が刻まれています。新しい創作や日常のアイテムに活かすことで、過去と現在がつながり、さらに未来へと受け継がれていくのです。
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