2025/11/08 17:12
昭和初期、日本の農村では日々の農作業や家事を支える衣服が必要でした。その中で生まれた野良着は、「働く人の知恵」と「家庭の工夫」が詰まった服です。
家庭で余った布を継ぎ合わせ、丈夫で動きやすく、それでいて自然と美しい柄が生まれる──まさに実用と美の融合でした。
今回ご紹介する一着は、表面に藍染の縞模様を使用し、裏面には格子や縞模様を組み合わせています。さらに袖は藍無地をあしらったクレイジーパターンで仕立てられ、やや長めの着丈がスタイリッシュ。
これらの模様や布の組み合わせには、家庭ごとの個性やセンスが表れており、一着ごとに異なる表情があります。
藍染は日本で長く親しまれてきた染色技法で、防虫・防臭効果や耐久性も兼ね備えています。野良着に使われる布は、時間と共に色が柔らかく変化し、着るほどに体になじむのが特徴です。
こうした手仕事ならではの味わいは、現代のファストファッションでは味わえない魅力です。
近年、こうした野良着は国内外で再評価され、エシカル・スローファッション・ハンドメイド・アップサイクル・リメイクの層に人気があります。
ただのヴィンテージ服ではなく、時間を経た布の表情や家庭ごとの個性を楽しむことができる一点ものとして、現代のカジュアルスタイルに自然に溶け込みます。
パーカやワークパンツの上にさらっと羽織るだけで、野良着の風合いがコーディネートに深みと温かみを加えてくれます。
この野良着は、昭和初期の農村文化の息遣いを感じながら、現代のライフスタイルにも取り入れられる稀少な一着です。
持続可能なファッションを意識する方や、ハンドメイド・リメイクの価値を理解する方に特におすすめです。
