2026/07/19 17:53

捨てない、という選択肢がありました。

布団が古くなると、中の綿を取り出し、外側の布を丁寧に解いて保存する。
そういう暮らしが、日本にはありました。

布団皮(ふとんがわ)と呼ばれるその布は、複数の細幅の木綿を手で縫い合わせた、大きくて丈夫な一枚です。何十年も使われ、薄くなった箇所には当て布が施され、縫い目はほつれ、木綿はくたりと柔らかくなっていきます。

それでも、解かれた布は残ります。
折り畳まれ、しまわれ、次の誰かへと渡っていきます。



これが「ほどき布」の文化です。

ボロ(襤褸)という言葉があります。
継ぎ接ぎだらけの、使い古した布のことを指します。かつては貧しさの象徴とされていたものが、今、世界のインテリアデザイナーやテキスタイルコレクターたちに真剣に求められています。

なぜか。

ファストファッションが当たり前になった時代に、「長く使う」という行為そのものが、美しく見えるようになったからだと思います。当て布の跡は、ダメージではありません。誰かがこの布を大切にした、という記録です。



今回ご紹介するのは、昭和初期から中期——おそらく1930〜50年代——の布団皮です。

黒・カーキ・エンジ・グレー・白の格子縞。複数の布幅を手で縫い合わせた構造。当て布はランニングステッチで丁寧に縫い付けられています。

サイズは158cm × 172cm。大判の一枚です。



この布を、どうお使いいただくか。

壁に掛ける。テーブルに敷く。部屋の仕切りにする。あるいは、ご自身の作品の素材としてお使いいただく。

格子縞のパターンと、継ぎ目が作るグリッド、当て布が生む偶然の構図——それは、どんなデザイナーも意図して作れないものです。

欧米のコレクターたちがボロの布団皮に惹かれる理由は、そこにあります。計画されていない美しさ。使われた時間の重さ。一点として同じものが存在しない、という事実。



二度洗濯済みです。古布特有の匂いが残る場合がございますが、風に当てていただくと落ち着きます。
布幅の継ぎ目はほつれており、木綿は年月とともに柔らかくなっています。
これらはすべて、この布が生きてきた証です。


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難波商店では、日本の古い布や野良着等のジャパンヴィンテージを、海外のコレクターや暮らしを大切にされる方々へお届けしています。

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