2026/10/12 16:48

丸の中に、「進」。
それで、「丸進」です。

背中の大きな印を読み解いた瞬間、思わず、うまいなと思いました。

店の名前をそのまま書くだけではなく、丸と文字を組み合わせて見せる。
簡潔で、力強くて、少し洒落がある。

今回は、そんな意匠が残る昭和中期頃の印半纏をご紹介します。





■ 店の名前を、身にまとう

印半纏は、屋号や所属を表す文字・印を入れた半纏です。

商店で働く人や職人などに着られ、体を覆う衣服であると同時に、「どこの店の人か」「どの仕事に関わる人か」を伝える役割もありました。

襟元の文字。
背中の大きな印。

向かい合えば襟が名を伝え、振り向けば背中が名を伝えます。

今のロゴ入りの服にも通じるところはありますが、この一着を見ていると、まず店と働く人の姿が浮かびます。服だけで完結しているのではなく、商いの場所や日々の仕事につながっている。その距離の近さが、印半纏の面白さだと思います。





■ 襟には文字、背中には洒落

この半纏の両襟には、「(株)家具の丸進」とあります。

背中は、丸の中に「進」。

同じ店の名を、前と後ろで違う方法で伝えています。

襟を見れば、家具の丸進という名前が分かる。
背中を見れば、丸と進で丸進と読める。

名前を伝えるという実用が、そのまま意匠になっています。

濃色の木綿地に、白い文字と大紋。
余計なものがなく、それでいて、忘れにくい。

「粋」という言葉が似合うのは、こういうところではないでしょうか。洒落を大げさに説明しなくても、気づいた人には伝わる。その潔さがかっこいいのです。





■ 家具店の名から、風景が広がる

この一着を誰が着ていたのか、具体的にどんな仕事をしていたのか。その記録は残っていません。

だから、特定の人の物語として語ることはできません。

それでも、家具店の名前を見ると、当時の商いの風景を想像したくなります。

店先に並ぶ家具。
品物を前に交わされる会話。
荷を動かす手。
通りから声を掛けられて、振り向く背中。

その背中に、白い丸進の印がある。

これは、この個体について確認された出来事ではありません。残された屋号を手掛かりに思い浮かべる風景です。

古い衣服には、すべてが分かるわけではないからこそ、想像が広がる余地があります。一方で、実際に残っている文字や生地は確かに目の前にあります。その確かなものと、想像の余地の間に、ヴィンテージを眺める楽しさがあります。


■ 今なら、白いTシャツの上に

昔の仕事着だからといって、当時の装いを再現する必要はありません。

白いTシャツに、さらりと羽織る。
デニムやゆとりのあるパンツを合わせる。

それだけでも、襟の文字が引き立ちます。

前を開けて着れば、濃色の生地と白いTシャツの間に、屋号の文字が並びます。背中に回れば、今度は大紋が主役になります。

前と後ろで、見せる表情が違う服です。








袖を捲って、表地とは異なる袖裏の生地を見せる着方もおすすめです。

大きな印の力強さに、小さな変化が加わります。古い服の内側にある生地を、今の着こなしのアクセントとして楽しんでいただけます。






■ 残った衣服を、これからの暮らしへ

丸と進で、丸進。

その洒落は、時代が変わっても分かります。
家具店の仕事着だった背景と、今見てもかっこいい意匠が、一着の中に残っています。

古い印半纏は、屋号も、生地も、使われてきた表情も、それぞれ違います。今回ご紹介したものも、在庫は1点です。

新しい服を次々と増やすのではなく、残された一着を知り、今の暮らしで着ていただく。

仕事と生活に近かった衣服を、これからも使う。

そんな選び方を楽しんでいただけたらと思います。


■ 商品と関連リンク

丸進の印半纏の商品詳細・全画像はこちら:

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